web関連技術の重要性と複雑さ

現在、パソコン(パーソナルコンピュータ)を使う多くの人々の間で「ネットを使う」「ネットにつなぐ」などの言葉を使うとき、それは多くの場合「インターネット上の web ページを見る」ことを意味します。コンピュータネットワークには厳密な意味での「インターネット」に属さないものもかつて多く存在しました。インターネット上でできることは web ページの閲覧だけではありません。それにもかかわらず、「ネットを使う」イコール「インターネット上の web ページを見る」とされてしまっています。これほどまでに、web ページとそれを取り巻くいろいろな技術は、コンピュータネットワークでの情報表現・情報流通において支配的な位置を占めています。

情報処理・伝達に関わる技術の変化・発展するスピードは相変わらずとても速く、ここ数年で、スマートフォンに代表される携帯端末(モバイル端末)が爆発的に普及しました。「ネットを使う」手段の主流は、これまでの「パソコン」から、急速にそれらのモバイル端末に移行しています。スマートフォンなどのモバイル端末でのネットワーク利用手段は、web 技術ベースのものもあれば、そうでないものもあります。しかし一般の利用者にとってその区別はもはや重要ではなく、すべてをひっくるめて「スマホで見る」という単一の概念に収束しつつあります。

しかしながら、「利用する側」ではなく「提供する側」すなわち「作る人」となったとき、そのような内部の技術の細かな相違点は、相変わらずとても重要です。そのなかで、パソコンでもスマホでも、web に関わる技術は大きな位置を占め、とても重要です。

このように web 関連技術がコンピュータネットワーク上での情報表現・情報流通において主流となったため、かつて web 技術とは別に発達し、別のしくみで行われていたことが、どんどん web と結合され、web 上で実現できるようになりました。すべてのことが web 上に集まってきている、とも言えます。そのため、今私たちが日常的に目にしている「ちょっとした web ページ」でも、内部はいくつもの要素技術の集合体であり、それらの要素技術を一つ一つ修得することなしに、web ページを作り上げることはできなくなりました。

かつて巷ではよく「ちょっとしたホームページ(=webページ) ぐらいは作れるようになりたい(なってほしい)」という発言が聞かれました。言われていた当時から、web ページは「ちょっとしたもの」ではなく、充分に複雑だったのですが、近年はさらに勉強すべきことが増え、さらに複雑に絡み合っています。私たちが現在普通に見かける「あたりまえの見栄え」と「あたりまえの機能」を備えた web ページを作ることは、まったくもって「ちょっとしたもの」ではなくなりました。

しかしここであきらめることはありません。コンピュータ関連の技術ではよくあることですが、この複雑さは「組合せの複雑さ」なのです。徹底的に分解し、基本的な要素まで細かくすると、それらの基本的な要素はとても単純です。「単純なものを大量に組み合わせる」ことが、コンピュータ技術の典型なのです。

これらの「基本的な要素」を一つ一つ学び、少しずつ組み合わせていくことが、web 技術習得の方法なのです。そう簡単に「あたりまえの見栄え」にならず「あたりまえの機能」を持つに至りませんが、「基礎からきちんと修得する」とはそういうことなのです。